
VEGANってなに?〜ヴィーガニズムと宗教と日本
今、アメリカ、ヨーロッパの市場を賑わせているVEGAN(ヴィーガン)。
欧米カルチャーの影響を受けやすい日本。徐々にその知名度を上げているので、あ〜聞いたことある。
という人も結構いるかもしれない。あるいは、このサイトはVEGANを題材にしているので
ここにアクセスしている多くの方が、既に実践している、又はこれから実践しようとしているのかもしれない。
しかし皆さんは、この事実を知っているだろうか?
VEGANの思想は元来、東洋の思想を踏襲しているということを。
現在のVEGANを語る上で、”宗教””カルチャー””マーケット”この3つは欠かせない要素となっている。3方向に掘り下げていくと実に面白く、
この記事を読んだ後はVEGANの考え方が少し変わるかもしれない。
国際化が色濃くなっている日本にとっては、VEGANはこれからトレンドになりそうな
熱い分野であり、今、知っておくとこれからの時代をリードできるかもしれない。
この記事はVEGANのこれまでと、これから。日本において”VEGNA”の市場がどう拡大していくのか?
という事について個人的な見解を混ぜながら(勝手に)述べていこうと思う。
実際に私は、VEGANに携わって5年、現場経験、実践経験があり、今、ヨーロッパ各地のVEGAN市場を見て回っている(現在は南仏にいます。)
奥が深いVEGANの世界。楽しんで知っていただけたらとても嬉しいです:)
CONTENTS
まず”VEGAN”の定義とは
日本語では完全菜食主義。蜂蜜、白砂糖、製造過程において、動物の製品を使用したものを食さない人。
と一般的には食に関する定義が先行しがちだが
VEGANの概念には道徳的側面である「食物、商業、食事、狩猟、動物の解剖及び人間による動物の使用に終止符を打つこと」を目的とした思想が含まれている。むしろこちらの方が強い意味を持っている。
ヴィーガニズムという思想から派生し、1944年イギリスの団体The Vegan SocietyのVEGANが作った”造語”である。
東洋のアヒンサー(不殺傷)に影響を受けたVEGAN
冒頭でVEGANは東洋の宗教に影響を受けたの述べたが
西洋で生まれたVEGANは、東洋のアヒンサー(不殺傷)の概念を融合している。
イギリスで生まれたVEGANのルーツは東洋にあることになる。
ぴーちゃん 「知人からのすすめで、聖書を読んでみたとき、人間が食べるための家畜を神が創造しているので、そのような思想が根底にある国からVEAGN??と思っていたけど、東洋の宗教を踏襲したと知って納得した。]
アヒンサー(不殺傷)の教えとは?
私たち、日本人であるなら自分たちのルーツである東洋の宗教についてはVEGANよりも先に知っておくべきであると思う。
アヒンサーは古代インド起源を発した宗教(ヒンドゥー、ジャイナ、仏教)の教えのこと。
生き物を殺したり害したりすることを禁止する行動規範(戒律)。なぜ禁止かというと※あらゆる種類の暴力が、好ましからざるカルマをもたらすという信念に密接に関連付けられているから。
ぴーちゃん「※簡単に言えば、悪い行いはいずれは自分へ還る。命を無下にすれば、自分そのような報いを受ける。だから暴力はいけませんよ。という考え。」
輪廻天性とアヒンサー
ではなぜヒアンサーを含む戒律を守るのかというと、道徳的の悪いことをしないことで、悟りを開く=全ての苦しみから解放れるためです。
東洋の宗教には「輪廻天性(りんねてんせい)」という概念が存在して、悟りを開くまで、何度も何度もこの世に
様々なかたちで生まれ変わる。前世の行いによって、家畜になったり、虫になったり、犬になったり。。
これは西洋の宗教には無い考えかた。
(西洋では、永遠の命を持つ者は全知全能の神のみ。信じれば、その永遠の命の中に還っていく)
東洋では生きることは苦しみが伴うと教えている。
東洋の宗教は、輪廻天性をしているうちは、苦しみのループから逃れることはない。
なので悟りを開いてこの輪廻天性から抜け出そう。という教え。
悟りを開くための教えとして、遵守すべき戒律(道徳規範)があり
そのひとつがヒアンサーです。
ちなみに、人間は悟りを開く一つ前のステージだそうです。
宗教によって捉え方の違う不殺傷(アヒンサー)と菜食
東洋の宗教の中でも、保守的なヒンドゥー教、またジャイナ教は、アンヒサーについて非常に厳しく考えている。
彼らは人間の体の中の魂と動物の中の魂を区別しないので、全ての生き物は人間と同じと考えている。
人間と同じように、動物も虫を殺さないし、もちろん、食べもしない。ジャイナ教は虫も殺さないように生きるため農業も慎むほど。
まさに究極のヴィーガニズム。
仏教では中道という教えがあり、どのような事にも傾きすぎず、バランスをとる事を教えている。
食事においても頂いたものは、受け取るという考え方があり、お肉を受け取ったら、頂く。
修行の間は、精進料理(完全菜食料理)を食べる。
(釈迦は自分を極限まで痛めつける厳しい断食を行うも悟りが開けず、衰弱しきっていた彼は、山を降る途中スジャータという女性に出会い、乳粥を捧げられる。それを口にしたおかげで生気を取り戻し、菩提樹の下で瞑想に専念することができた。 そしてこの菩提樹(ぼだいじゅ)の下で、ついにシャカは悟りを開くことができた。という背景がある)
(仏教徒であっても不殺傷(アヒンサー)を重く捉えてる者もいる)
VEGANの流行とヒッピー、カウンターカルチャー
このような東洋の宗教に影響を受けたVEGANだが、西洋の宗教とはかけ離れた概念がなぜ広まったのか?というと
1960年~若者の間で流行したヒッピー、カウンターカルチャーが大きく関係している。
カウンターカルチャーとは?
実際私の知人も、影響を受けてVEGANになったという人が多数存在している。
カウンターカルチャーについても少し掘り下げてみよう。
ベトナム戦争での米軍の圧倒的なテクノロジーによる暴力や虐殺などに対して、音楽や麻薬、非暴力によって対抗(カウンター)しようとした若者たちの文化。結果、自然と愛と平和とセックスと自由、巡礼の旅の愛好家として社会にうけとめられた。かれらは当時、西側の若者の間で流行したマオイストや、コミューンの形成,環境運動や動物愛護、自然食、LSD、マジック・マッシュルーム、マリファナ擁護にくわえて、ヨガ、インド哲学、ヒンズー教、タオイズム、禅、仏教などの東洋思想に関心をよせた。これまでの欧米の思想にはない概念を東洋からみちびきだすことによって、より平和で調和に満ちたユートピアを夢みた。
実社会のなかで、ユートピアはおとずれることはなかったが、その憧れは21世紀において、サブカルチャーにとどまらず、欧米の主流文化のなかでより一般化されたものとなった。アップルをはじめとした米西海岸のコンピューター文化、ロックや美術、文学、舞踏、アニメといった大衆文化、ヴィーガニズム、菜食主義などより自然志向の食文化、東洋的な精神への関心は高まりつづけている。(Wikipediaより引用)
ぴーちゃん「西洋の宗教において人間は神に聖書には動物は人間に食べられるためにある。と畜産を肯定しているし、牧畜で生計を立てている国もあるのになぜ広まったの?と思っていたけど、カウンターカルチャーから広まったと知り、納得しました。」
VEGANマーケットの拡大
1944年イギリスのVEGAN協会が造語したVEGANは。ヴィーガニズムを、より流通させるため、”VEGAN”という言葉を用いた商標、シンボルマークを作成。
消費者に向けて、VEGANの商品を印象づけることに成功し、
2010年代~道徳的側面とは別に健康的側面の要因が一層加速させ、昨今、VEGANという言葉が定着。
日本でもVEGANマークは、ヨーロッパのオーガニックコスメブランドを始め、多く見かけるようになっている。
VEGAN協会が作成したオフシャルのマークはヨーロッパ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、インドで登録され、世界中で30,000を超える製品で使用されている。
マーケットの拡大を受けて他の団体も、独自にVEGANの商品を作成し、益々勢いをみせている。
ぴーちゃん「需要が増えれば供給が増える。これが資本主義というものだ。」
VEGANマーケットの課題
VEGANという言葉が市民権を得てVEGANマーケットが拡大していく中で、商品に対するVEGANという言葉の定義が曖昧になっている印象を受けた。
その中でEUの食品表示義務の中にはベジタリアン、VEGANである商品への任意表記を推奨しているが
副次的なコンタミネーション、動物実験の規定については指定が細かくなされていないため
各大手商品販売企業が独自のVEGANの商品のラインを持っているが、その定義は企業によって異なるのが現状。
コンタミネーション、動物実験、保管方法、など細かい規定の対応に追われている。
ダイエットVEGAN、ファッションVEGAN、エシカルVEGANの市場拡大
本来は精神的、道徳的側面要因から誕生したVEGNだが、
現在ではファッションや、健康、また環境問題とヴィーガニズムを融合させた市場も拡大している。
それぞれ、ファッションVEGAN 、ダイエタリーVEGAN、エシカルVEGANと呼ばれる
ガンジーはヒアンサーの教えを政治に組み込んでいた人物なので、
「健康上の理由から菜食を実践することは、一番ひどい方法です。病苦など、つまり単純に健康上の理由から菜食主義を実践する人の多くはこの食習慣から退却することにわたしは気づきました。菜食主義を貫くには、道徳的な基礎が必要なのです。」と、本来の非殺傷の概念からは大きく外れたこの考え方に苦言を残している。
イギリスVEGAN協会は、広義的な意味のVEGANも積極的に推奨する立場をとっている。
ダイエットVEGANの問題点
植物性の食品のみを摂取しているとB12が欠乏し、悪性貧血になる可能性があるため、サプリメントなどで補うよう注意が必要。
また、VEGANといえ、ポテトチップスや菓子パン(所謂、ジャンクVEGAN)など、栄養が偏ったものばかり摂取していると健康を害する恐れがある。
エシカルVEGANの問題点
環境保護、動物愛護団体の過激派な行動が問題になっている。2018年フランスではアニマルライツ擁護団体の精肉店へ襲撃や脅迫が相次いだ。
ぴーちゃん「ここで、VEGANの根本であるヒアンサーを思い出して欲しい。。暴力をした時点でVEGANでは無く、テロリスト。報道もVEGAN 団体が。。とか動物愛護団体が。。と伝えるので、同業者も迷惑しているはずだ。」
日本人とVEGANの関係
我々日本においては、無宗教である者が多く存在し(世界的無宗教国家)「思想的なもの」に対する警戒心が高く
VEGANに対しても同様のリアクションをみせている。しかし戦前、日本の食生活の中心は(魚)菜食であり
豆腐など、精進料理から生まれた大豆加工食品が普及している。欧米諸国よりはるかに、伝統的に菜食が根づいていているといえる。
また、文化や考え方の根本には仏教の教えがあり、「いただきます。」という言葉からも、食物の命への感謝を日常的に行っている。
VEGANは日本では馴染みの薄い横文字である。しかし、実は馴染みの深い文化である。
特に近年はインド発祥のヨガのブームがり、ヒアンサーの概念に触れる人も多くなってきている。
欧米化が進み、パンや肉が食卓に並ぶようになったが、健康的な側面からも、そのライフスタイルの変化に多く議論がなされてきた。
VEGANのムーブメントは、日本の伝統的な文化を広めるチャンスであるとも言える。
実際にヨーロッパのーパーマケットには、日本食のコーナーを多く見かけるが、豆腐、うどん、みそなどの食材は
VEGANの人にとっても注目すべき食材となっている。
まとめ
VEGANについて楽しんで頂けたでしょうか?
日本の伝統的な食生活やライフスタイルは世界からも高い評価を受けているので
西洋のライフスタイルと融合させた、新しい日本のヴィーガニズムを発信していけたら良いですね!
また何か面白いことを見つけたらシェアして行きたいと思います^^